薬膳を学ぶということ
薬膳料理とは、中国伝統医学(中医学)の基本理論にのっとって施膳する、
食事療法を兼ね備えた料理方法のことです。
薬膳を学ぶということは中医学理論を学ぶに等しく、この理論なくして薬膳はありえません。
つまり薬膳を学ぶということは、中医学を学ぶということであり、
中医学を学ぶということは、中国哲学の基本理論を学ぶということなのです。
そして薬膳とは中医学理論による食の組み立てと、その調理法を指すものなので、
薬膳=中国料理というのではなく、薬膳は日本料理でもイタリア料理でもすべての料理に展開できる食事療法なのです。
薬膳は健康的で美味しい料理
薬膳は時に治療効果を高める目的で生薬を使うため、『薬くさい?』『まずそう』なんて声を耳にいたします。
我々薬膳師は、胸を張っていつもこう答えます。
『薬膳は、目的を持って美味しく調理した料理です。』
薬くさいのなら、薬として煎じ薬で飲めばよいのであって、わざわざ調理する必要はありません。
不味ければ毎日食べていけるものではありません。
健康食ということは、野菜中心?精進料理みたいなもの?
薬膳は、肉も魚も油も使い、味付けもしっかりいたします。
健康とは、心身ともに健やかで元気に活動できる状態を言います。
薬膳は、気力、体力を増強するスタミナ食という一面も兼ね備えております。
薬膳の素晴らしさ
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寝込むほどではないけど、なんとなく体がだるい…
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このところ、なぜかイライラしやすい…
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寝てもすぐ目が覚める。よく眠れない…
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生理が遅れがち、または月に2度もくる…
病気というほどではないけど、あるいは健康診断では異常なしといわれたけれど、調子が悪いといった不調症状に対し、対応の幅が多いのが中医学です。
また『ストレスですね』で片づけられる精神状態に対し、『気』のアプローチの多さは現代医学の比ではありません。そしてこれらの症状に対し化学薬品に頼ることなく、毎日の食事で改善していけるのが薬膳のおもしろさ、すばらしさです。
薬膳師=食医ということ
最も位の高かった食医
“医食同源”という言葉は、紀元前2000年以上も前の古代中国文化から発祥した概念であり、春秋戦国時代にはすでに中医基礎理論とならび食物の五味と五臓の相関関係や食の禁忌などを記述した書物もあり、薬膳の理論化体系は確立されていました。
紀元前1000年頃の周王朝の時代には、官職として『食医』という位が設けられ、日々膳食をとおして帝王の健康を管理調整する者として、医療職の中では最も高い位とされていました。
中国で最も古い薬学書とされる『神農本草経』には、食物または生薬を上品(じょうぼん)・中品(ちゅうぼん)・下品(げぼん)に分類し、その効能、用い方を記しました。
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上品とは、いつ、なんどき、毎日でも食してよいもの。
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中品とは、具合の悪いときに食するもの。
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下品とは、どうしようもなく病気になったときに食するもの。
また医者を工と呼び、医者にも上工(じょうこう)・中工(ちゅうこう)・下工(げこう)という分け方をしました。
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上工は、病気にかかりそうなことを事前に察し、未病のうちに健康の調整をする。
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中工は、病気になってから、治療を施す。
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下工は、併発していた病気や根本の病の原因に気づかず、重病になってから手を施す。
つまり、上品(じょうぼん)を扱う上工(じょうこう)が最もすぐれた医者であるということから、日常の食事で健康を調整し、未病にあたる『食医』が、最も位が高く敬意が注がれました。
『国際中医薬膳師』であること、それは、食の医者(食医)であることに今も変わりはありません。
薬膳学の基本理論
薬膳を作ることを施膳といいます。
薬膳施膳において食材を選ぶときの法則は、四性五味と帰経に注目いたします。
これらも陰陽五行に属性させて考えます。
四性
冷やすもの(寒性、涼性)…陰
温めるもの(温性、熱性)…陽
五味
酸(さん)味 … 収れんしたり、引き締める作用
苦(く)味 … 熱を冷ましたり、解毒する作用
甘(かん)味 … 気や血を補い、痙攣を緩解させる作用
辛(しん)味 … 邪気を散らし、気血の流れを促す作用
鹹(かん)味 … しこりを軟らかくする作用
帰経
五味はそれそれが五臓と対応しその働きを助ける
酸味=肝 苦味=心 甘味=脾 辛味=肺 鹹味=腎